ちどりのあしあと - 2013年07月

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2013年07月

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反原発へのいやがらせの歴史展

脱原発の市民運動に関わって二十余年たちました。長いことやっていますが、震災以降は少々控えめな活動になってしまっています。

チェルノブイリ原発事故の後の日本で脱原発運動が盛り上がった時期に、私も活動に加わりました。学生時代から、主に神奈川県内の脱原発運動をネットワーク化するための取り組みに関わり、90年代は毎月シコシコとミニコミを作っていました。

結婚して子供が生まれて鎌倉に越した頃、怪文書が届き始めました。私のところだけではなく、その頃脱原発の市民運動に関わっている人たちの多くがターゲットになっていました。多いときには毎日郵送されてくる感じだったと思います。

白封筒に手書きで宛名が書かれ、送り主はわからないこともあれば、怪しい団体の名前が書かれていることもありました。中身は、市民運動の中心メンバーを中傷する文書だったり、たばこの吸い殻や千円札だったりもしました。

文書はワープロ打ちのもののコピーで、乱雑にカットされていたり、斜めに折られていたりして、これはわざとだと思うのですが、何となく不安を煽られるような気がして、プロの技を感じたものです。

一番悪質だと思ったのは、家の近所を撮った写真が送られてきた時でしょう。子供が小さかったこともあり、さすがにゾッとしました。不安を煽って市民運動をやりにくくするのが目的なのでしょう。

その一方で、可笑しいものもありました。封筒にカセットテープが入っていて、再生するとハウンドドッグのフォルテシモのイントロだけが延々と繰り返し流れてくるというもの。イメージ沸きますでしょうか。本物の音源ではなくて、素人が自宅のキーボードで弾いている感じのもの。これには笑いました。

あちこちに大量の怪文書が届いていましたから、これが個人の仕業ではないということは想像に難くなく、非常に悪質だということで、怪文書を送りつけられていた人たちが集まって1995年に日弁連に人権救済の申し立てをしました。 私も送られてきた怪文書を資料として提出しました。

結局怪文書を送った犯人は特定できず、そのうち送られてこなくなりました。

この度、その頃送られてきていた怪文書を展示する会が開かれるというお知らせがメールで届きました。新宿のギャラリーで8月10日(土)11日(日)に開催されるそうです。私のところに送られてきたものもあるかもしれません。

開催要旨は以下の通りです。

日時 2013年8月10日(土)午後1時から5時まで
    2013年8月11日(日)午前10時から午後4時まで

両日とも午後2時から主催者メンバー(海渡雄一・弁護士、西尾漠・原子力資料 情報室共同代表、西村トシ子・元動燃職員の妻)による展示についての説明、懇 談があります。

場所 新宿区立区民ギャラリー
(新宿区西新宿2-11-4 新宿中央公園内 エコギャラリー新宿1階)
新宿駅から徒歩15分
丸ノ内線西新宿駅2番出口から10分
大江戸線都庁前駅A5出口から5分
新宿西口バスターミナル17番からバスに乗り、バス停「十二社池の下」下車1分

なぜ今あの頃の怪文書を引っ張り出してくるのか。海渡弁護士が文章にしてくれています。世の中の裏を覗ける展覧会です。お時間ありましたらお出かけしてみてはいかがでしょう。

展覧会の開催に寄せて

展覧会実行委員会代表 海渡 雄一

原発反対運動への異常ないやがらせ

1986年4月にチェルノブイリ原発事故が起きました。その数年後日本でも、 原発反対運動が大きく盛り上がったことがありました。1988年2月に伊方原 発の出力調整試験の反対運動が空前の盛り上がりを見せ、1988年4月には日 比谷公園で2万人の集会が成功しました。1992-3年にはあかつき丸によっ てフランスからのプルトニウム輸送が行われましたが、これに対しても、世界的 な反対運動のネットワークが作られました。

この展覧会で明らかにしようとしている原発反対運動へのいやがらせは1980 年代の終わり頃から見え隠れし、1993年ころがピークで、2000年頃まで 続きました。あまりにも卑劣なやり方に全国の活動家たちが集まり、1994年 から準備して1995年7月には日弁連に人権侵害救済の申し立てをしました。 私はその申立人らの代理人でした。

この人権侵害の特徴は、原発反対運動に係わる個人に対して、大きな組織が結託 して、執拗に継続されている権侵害であるということです。また、個人の自宅や 自宅周辺の写真を送りつけるなど、身辺への危害をほのめかす卑劣きわまりない ものでした。郵送されて来る文書の中には、明らかに違法に収集されたと思われ るまったくの第三者宛の信書や税金関係などの請求書、使用済みの大量のJR切 符や運動内部で配布された文書や原子力推進機関の内部資料などが含まれていま した。これらの意味するところは、この人権侵害の実行者たちは、目的のために は違法行為も辞さない、あるいは、自分たちは違法な行為をしても責任をとわれ ない集団であるという印象を与え、言いしれぬ恐怖感をもたらすものでした。


この展覧会の意味

今日に至っても、このような嫌がらせを行った犯人はわかりません。日弁連は 、行為者が不明という理由で結論を出すことができませんでした。しかし、現時 点で見れば、このような嫌がらせは、電力会社と公安機関、そしてキャンペーン 活動のプロ集団が複雑に絡み合った組織による組織的な運動破壊であったと思わ れます。

今年の秋から、原発の再稼働、新増設への動きに拍車がかかるでしょう。これに 対応して反対の活動も活発となることでしょう。そのとき、手紙や写真という伝 統的な形とは変わるかもしれませんが、1990年頃と同じような目的で、ネッ トなどを使ったより巧妙な反対運動への攪乱工作が行われるのではないかと強い 危惧を感じます。

この展覧会の目的は、このような活動を未然に防止するために、過去の嫌がらせ の歴史を正確に多くの市民に知っていただきたいということです。さらにこの反 倫理的な犯罪的行為に荷担したおそらくは数百人に上る者の中から、過去の行為 を認め、詳細を明らかにする者が名乗り出てくれることを願うところにあります。 私たちは、このような行為に手を染めた個人の責任を追及したいわけではありま せん。すでに法的には時効にかかっているでしょう。しかし、どのような機関が 責任を問われるべきかを明確にしておくことが、今後おなじような嫌がらせが起 きないようにするため、何よりも重要であると考えるからです。


主催●反原発へのいやがらせの歴史展実行委員会
問い合わせ 東京共同法律事務所(03-3341-3133)
弁護士 海渡雄一・同 中川亮

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